「ベビーステーション中川」の園長・岡田彰子さんに紹介されて、ザックさん(左)を訪ねた。 ザックさん(33歳)のフルネームは、Zachariah Giles Dimm。愛称Zacさんだ。 地下鉄「中川駅」から徒歩3分にある「トウインクル児童園」の、マネージャー兼先生である。トウインクル児童園は、園内での生活をすべて英語で過ごすというユニークな保育園・幼稚園。 次の訪問者を紹介してもらう場合に、「なるべく同業者でない方を」と勝手なお願いしているが、今回は同業者だ。でも”ひと”訪問初の外国人ということで、登場してもらうことになった。 都筑区にはドイツ人はじめ、外国人がたくさん住んでいる。いつかは日本語でインタビューできる外国人を訪問したいと思っていたが、7回目にしてアメリカ人のザックさん訪問が実現した。
アメリカのボストンで生まれたザックさんは、16歳の時にサンフランシスコに移った。ザックさんとの会話は、もちろん日本語だったが、流ちょうに話してくれたおかげで、困ることはなかった。でも、ボストンやサンフランシスコで日本語の勉強をしていたわけではなく、日本に深い関心を持っていたわけでもなかった。 約13年前に、アメリカ大使館関係の施設で発電を担当する技術者として来日。会社の命令で日本に赴任したにすぎなかった。 ところが3年後、アメリカに戻される頃になって「日本は面白そうな国だ。この国で他の仕事をしてみたい」と思うようになった。アメリカに帰国後わずか2週間で、再来日。
次の職場を決めていなかったが、子どもをあやすのがとても上手なザックさんを見て「ザックは子どもと遊ぶのが上手だから、塾や学校の英語の先生に向いているかもしれない」と、友人がアドバイスしてくれた。 友人のアドバイスをうけてトウインクル児童園に就職したことが、今につながっている。トウインクル児童園は、(株)学栄の傘下に入っているが、事実上は独立経営だ。経営者は中村祐華さん。実は3年前に結婚したザックさんの奥さま。 「祐華はとってもしっかりしていています。僕は弱々しい女性より、自分を持っている女性が好きなんです。だからどうしても祐華と結婚したかったんです」。ザックさんは、傍らにいる祐華さんを見やりながら話す。 インタビューを終えて帰るときに、早退するママとお子さんが玄関に出てきた。ザックさんを見るやいなや、ママの手を離れてザックさんに突進していった。ザックさんはすぐ抱き上げて、お互いにチュ!(左)。ザックさんも子どもが大好きだけれど、子どももザックさんが大好きなことがよく分かるシーンだった。
前回の岡田さん訪問記の中でで触れたが、横浜市の保育園は、補助金があるなしかで、3種類に大別される。「トウインクル児童園」は、行政の補助をまったく受けていない。 アメリカ人のザックさん、フィリピン人のグレイスさん、オーストラリア人のネイサンさんはじめ、日本人スタッフもすべて留学の経験がある。しっかりしたスタッフが揃っていて、そのうえ補助を受けていないので、当然、園に払う費用は高い。それでもここで学ばせたいと思う親がいて、区内ばかりか遠い所からも通ってくる。 祐華さんは、経営者として非常に忙しく、インタビューのときに傍らにいたのは10分ほどだが、その間に児童園の理念を話してくれた。 「言葉は学ぶものではなく、自然に身につけるものですよね。自分が英語で苦労したので、これからの子ども達には苦労させたくないのです。日本語と同じように、生活の中から英語を吸収できる環境を作りたいと思いました。園にいるときはすべて英語、家に帰ったら日本語で接するように、親ごさんには話しています」。 「全部英語だとストレスを感じるお子さんはいませんか」と聞いてみた。 「ほとんどの子どもは1〜2歳から通っています。脳の大きさは、3歳までに成人の約80%、6歳までに90%ができあがるのです。だから子どもの英語教育は早いほうがいいと思っています。この年齢は言葉の吸収が早いので、バイリンガルでも大丈夫です。でも4歳児ぐらいの入園は、帰国子女でない限り断っています。他の子が英語で話していてちんぷんかんぷんだったら、園に楽しく通えないですから。園に早く行きたいなあ〜とすべての子どもが思うようなカリキュラムを組んでいるつもりです」と祐華さん。 左上は、英語の絵本を読み聞かせしている写真。 左下は、カード遊びをしている写真。
インタビューした部屋のホワイトボードには、計算の勉強がまだ消されずに残っていた。数字はもちろん共通だが、他の単語は英語で書いてあった。すべて英語で過ごす園だから、算数も英語でやるのは当然なのだが、日本の都筑区にこんな教育機関があることに、あらためて時代の変化を感じた。
保育時間やカリキュラムはHPに詳しく載っているが、「知育」ばかりでなく「徳育」「体育」「食育」「才育」にも力を入れている。
「ところでザックさんの趣味、息抜きはなんですか」。 「国際プールのジムで週に3〜4回、筋トレをしています。いつまでも元気でいたいので、身体を鍛えているんです。子どもと遊ぶ(左)のも、案外体力が必要なんですよ」。 「国際プールより近いスポーツジムがたくさんあるのに、なぜそこまで行くのですか」。 「僕は、筋トレだけやってすぐ帰れる国際プールのジムが気に入っているんです。日本人の友達もできたし、楽しいですよ」とザックさん。(2010年7月訪問) |
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