今回の訪問は、「NPO法人WE21ジャパン都筑」の代表をしている海田祐子さん(62歳)。 以前、交流ステーションの地域活動紹介コーナーで、「WE21ジャパン都筑」が開いているリサイクルショップを取材させてもらった。 最初の取材時は荏田南商店街にWEショップがあったが、2012年5月に茅ケ崎中央30-14の現在地に移転した。区役所から徒歩2〜3分ほどの便利な場所とはいえ、少し分かりにくい。その紹介も兼ね、今回は代表の「ひと訪問」という形で再度の登場をお願いした。 「リサイクルショップの理念を少しでも多くの方に理解していただきたいので、喜んで取材をお受けします」 残暑が厳しい日だったが、海田さんは、約束場所である区民活動センターに、さっそうと現れた。
「都筑区にもたくさんのリサイクルショップがありますが、WEショップとの大きな違いはなんでしょうか」 「販売している衣料品・靴・バッグ・食器・小物などは、すべて寄付していただいたものです。中古がほとんどですが、新品もたくさんあります。売上は主にアジアの女性たちの自立を支援するために使っています。買い物してくださるだけで、アジアの女性たちを助けることになるんですよ」 「1ヶ月で何人ぐらいの方が寄付してくれますか」 「2016年の例ですが、寄付は1年間で1744件です。月にすると約150件。ほとんどの方がリピーターで、この方たちには本当に感謝しています。買い物に来てくださった方は、2016年は7109人でした」 「ところで、”WE21ジャパン WEショップつづき”(左)って、店の名前としては、難しいですね。由来を教えてください」 「WEはWomen's Empowermentの略で、女性が力をつけてより良い社会を作っていきましょうということです。21は21世紀。21世紀に生きる日本人が、主にアジアの女性たちの自立を支援していこうという願いが込められています」 「世界は、食料・水・鉱物・エネルギーなどを奪い合い、環境を破壊してきました。大量消費する人たちがいる一方、貧困に苦しんでいる人たちがいます。両者を循環させることで、もっと公正な地球社会を創りたいのです」 「そのための行動の1つがリサイクルショップというわけですね。いつごろ設立したのですか」 「1998年に任意団体の”WE21ジャパン”が、神奈川県の厚木でWEショップ厚木をオープさせました。発祥の地が神奈川ということもあって、WEショップ56のうち、54が神奈川県にあります」 下は店内の様子。訪問が夏が終わりに近い時だったので、夏物は半額で提供していた。秋物も並んでいる。このように季節ごとに商品を入れ替える作業もある。寄付品が季節にそぐわない場合は、共同で借りている倉庫に保管している。 リサイクル品以外に、パレスチナのオリーブオイルやオリーブ石鹸、カンボジアの小物類、フィリピンの刺繍入りタオル・ジンジャーティー・コーヒーも扱っている。いずれも、パレスチナやカンボジアやフィリッピンの子どもと女性を支援している団体との連携だ。 発足当時は主にアジアの国への支援が中心だったが、東日本大震災後は国内の被災地にも目を向けるようになったという。
「都筑にショップができたのはいつですか」 「荏田南にオープンしたのは2003(平成15)年3月。NPO法人の資格をとったのも2003年です。厚木店オープン5年後のことですが、私を含め10人で立ち上げました」 「立ち上げから、いままでずっと関わっていらっしゃいます。海田さんの心をそこまで動かしたのはなんだったのでしょう」 「1986年にこの地に越してきてから、生活クラブ生協の班会で、女性の目線で地域をよくしていこうという考え方を知りました。20年ぐらい前だったでしょうか。生活クラブ生協の人たちが視察に行ったイギリスのオックスファムの報告会を聞きました。オックスファムは、リサイクルショップをやりながら、貧困問題に取り組んでいるNGOです。リサイクルショップは誰でも参加でき、しかも平和や海外支援に繋がることを知り、深い感銘を受けました」 「7年前から代表ですね。ショップのスタッフは何人ぐらいいますか」 「役員はマネージャーなど7人。ほかにボランティアスタッフが20人ほど。接客や寄付品の仕分けや店のレイアウトなどもボランティアがになっています。1日に2〜3時間でもいいから、ボランティアしてくださる方を募集しています」
「アジア各国へスタディツアーをしているそうですね。資金援助をするだけでなく、現地の実情を自分の目で見ることが大事だと思います。どんな国に行きましたか。」 「タイのポン市郊外の村の”朝市プロジェクト”を支援しました。その後も、定期的に訪問しています。彼らは借金をして大規模な米づくりをしていたのですが、自分たちが作った物を村内の朝市で販売するようになりました。地域にあるものを生かしつつ、貧困から抜け出す試みです。 「フィリピンの北ルソンのコロス集落で”コーヒーの森プロジェクト”を支援しています。2009年の台風で被害を受けた森林を回復させながらコーヒーの木を植えています」
「ショップでのボランティアやスタディツアーなど、外出の機会が多そうですが、ご主人も理解してくださるんですね」 「夫は、外に出て活動する事はいいことだ・・と全面的に賛成してくれます。私が熱く語るときも耳を傾けてくれますよ」
寄付してくれる人がいて、買い物してくれる人がいて、このリサイクルショップは成り立っている。もちろん、ショップを支えるスタッフやボランティアの力もなくてはならない。まさに「世界につながるお買いもの」。 海田さんは「こんな物持って行ったら笑われるかも・・としり込みする方もいると思いますが、寄付品があってのショップです。どうかお立ち寄りください。特に着物は少々シミがあっても小物などにリメイクできますから」と、協力を求めている。 左は古布で作ったうさぎのお雛様。リメイク講座での作品 「海外への支援はどういう形でしているのですか」 「現品を現地に送ることはしていません。運送費が高いうえに、現地で洋服を作っている人たちの不利益になることはしたくないからです。だから主に現金で支援しています。都筑のショップの規模は小さいので、金額はお恥ずかしいぐらいわずかなんですよ」と海田さんは謙遜するが、こういう活動は金額の多寡より、理念を持った人たちがボランティアをしていることが重要なような気がする。 2016年の支援先は、@ フィリピンベンゲット州へ15万円 A カンボジアへ12万円 B 福島県いわき市へ3万円 C フィリピンケソン市へ教育事業サポート 募金の送り先は@ 熊本地震募金 43,726円 A チョコ募金 90,930円 B 布チョッキン講座 15,000円 2016年の売上金の中から経費を差し引いて、30万円の支援と15万円の募金につながったことになる。 店に出しても3分の1は売れ残るが、それはファイバーリサイクル業者が、無償で引き取ってくれる。焼却する場合もあるが、再利用して繊維に蘇ることが多い。 WEショップでは、着物フェア(着物や帯や草履などを販売)や、手芸作品展(手芸好きな方の作品を展示)や学用品フェアなども開催している。古布のリメイク講座や布チョッキン講座(型紙どおりに布を切り人形のキットを作り、カンボジアの子ども達に送る)など、さまざまな催しをしている。詳細は、HPを見るか店にちょくちょく立ち寄って欲しい。 左がショップの地図。 営業時間は月〜土 の10時半から17時 日祝は定休 電話 045-948-5596 ショップマネージャー(週に2〜3日)やショップボランティア(寄付品の整理や接客など)も、募集している。 「理念に賛同してくださる方は、ぜひ協力してください」と、海田さんはやんわりとおっしゃる。こんなに熱くて心の広い人と一緒にボランティアをするのは楽しいだろうなと思いつつ、インタビューを終えた。 (2017年9月訪問 HARUKO記) |