本間さんは、北山田町内会の会長である。町内会役員用のシャツを着て、インタビューにそなえてくださった。 筆者は北山田に長年住んでいるが、町内会の役員になったことがないし、行事にもほとんど出ていないので、わが町の会長は名前しか知らなかった。 そんな会長さん訪問のきっかけは、「第7回北山田寄席」と「第2回つづき寄席IN歴博」の時。これら社会人寄席の発起人は本間さんにちがいない。ぜひ会ってみたいと思った。 話しているうちに、落語以外の趣味のこと、町内会の運営のことなど、淀みのない会話が続き、約束の2時間を少しオーバーしてしまった。
「親戚の紹介で、10歳の時に東京の品川から北山田に越してきました」 「53年前ですね。私も同じ頃に、やはり親戚の紹介で東京から北山田に越しました。ニュータウン開発が計画段階の時で、不便でしたよねえ」と、同じ境遇に親しみを持ってしまった。開発前の北山田を知っている人は、非常に少ないからだ。 写真は開発前の北山田交差点付近(町内会のHPを拝借) 「地主以外の方が会長になるのは珍しいと思うのですが、反対はなかったのですね」 「私が会長になったのは2018年ですが、その前の会長も地主ではありませんでした。実は、地主しか会長になれない雰囲気の町内会が今もありますが、北山田には地主だった世帯もありますが、新住民の会長を気持ちよく受け入れてくれました。今も和気あいあいとやってますよ」
「約6000世帯です。そのうち2000世帯がマンションですから、町内会の加入率は55%ぐらいです」 「55%は少ないように思いますが、マンションは別な組織を作っているので仕方ないですね。でも、年間行事は盛んですね。先日8月3日と4日の夏まつりは大盛況でした」 「夏まつりは2日間で、警察発表では2万人の人出。町内会が主催で、北山田商業振興会が後援という形でやっています。北山田以外からもいらしてくださるようで、やりがいがあります。テントを組んだり提灯をつけたり準備は大変ですけど、役員の年齢が50代中心なので助かっています」 「他にどんど焼き、映画上映会、ウオーキングフェスタ、敬老の集い、バス旅など、ほとんど休む暇がありません」 写真は夏まつりで挨拶する本間会長。
「2022年12月です。『きたやまた落語倶楽部』のメンバー6人(男女3人ずつ)が中心になって運営していますが、最初に声をかけたのは、川崎市役所勤務の喜楽亭笑吉さんです。今は当日の構成は笑吉さんと本間で考えています。笑吉さんは古典落語だけで70も演目を持っています。区役所に勤めながら、1日に2ステージをやることもあり、年間100ステージをこなす売れっ子の実力者です」 写真は北山田寄席での喜楽亭笑吉さん。枕(本題に入る前の世間話や小咄など)の時に撮影を許された。 「笑吉さんと知り合いになったきっかけはなんでしょう」 「3年位前に川崎や両国や深川などの社会人落語会に顔を出したんです。それ以来です」 「最近では牛久保、すみれが丘、東山田、都田などでもやっていますが、本間さんが紹介しているのですね。6月の『第2回つづき寄席IN歴博』も無料でしたが、せめて1コインぐらいは払った方が気楽なんですが」 「笑吉さんが、社会人だから絶対に無料でとゆずらないんです。でも木戸銭をいただいてますから、みなさんに交通費ぐらいは差し上げています」
驚いたことに、本間さんは相模原と日本橋で、都筑亭龍太郎としてすでにデビューしている。コーディネートするだけでも大変なのに、ご自分も社会人落語家だ。下の3枚はその時のもの。写真を見るだけで、熱演が伝わってくる。 「都筑亭はわかりますが、龍太郎は?」 「上岡龍太郎が好きだからです」 「本間さんの落語を聞きたいです。都筑でやる予定はありますか」 「11月4日13時開演の歴博でのつづき寄席の高座に上ります。お待たせしました。いよいよです。歴博からは、落語と展示のタイアップをして欲しいと注文がありました。楽しみにしていてください。定員170名で申し込みが必要です」 近く配布されるチラシやタウンニュース(10月3日掲載予定)にQRコードが載っている。申し込みはQRコードだけで、定員オーバーの場合は抽選をする。 直近の寄席の予定 ぜひ足を運んで欲しい。 9月8日(日) 第8回北山田寄席 定員70名 先着順 、10月26日(土) 都田寄席、11月4日(祝日) 歴博寄席 2025年1月18日(土) 北山田寄席、 2月24日(祝日) 牛久保寄席
都筑ACのメンバーは80名ほどで平均年齢は55歳ぐらい。緑道ハレバレ会メンバーの筆者は、緑道を活用して楽しんでいる話を聞くのは嬉しい。 「そういえば10年前に取材した高原さんも都筑ACのメンバーでしたが、今も走っていますか」 「高原さんは88歳になりましたが、今でも世界大会に出ていますよ。さすがに長距離は無理になりましたが」 本間さんは都筑AC以外に、個人で週に3回ほど緑道を5~10キロメートル走っている。文武両道だなあと感嘆してしまった。 写真は、雁坂峠越 秩父往還レースの時。なんと145キロメートルを走り続けるウルトラマラソン。普通のマラソン42.195キロメートルの3倍以上の距離。 仕事もしている。現在(株)ARBプランニングの社長として、駅の売店(キオスク)の設計や施工をしている。働くのは月に10回程度だと言うが、夜中の仕事だけに、体力は保つのかしらと余計な心配をしてしまう。
インタビューの終わり頃になって、「こんな事もやっています」と言いながら山田地区Dフレンドリー委員会発足のチラシを渡された。DはDementia(認知症)のD.。認知症になっても誰もが誰かを見守りお互いに気にかけあうまちづくりを目指して発足した。 この会の代表は、行政書士で認知症カフェ「コツコツ」の代表横尾佳子さん、メンバー10名のトップに本間さんの名がある。山田地区社会福祉協議会の副会長もしているからだ。 認知症になっても地域で暮らせるようにという動きは知っているが、深い話はここでは書ききれない。別の機会に取材させてもらいたいと思っている。 同じ頃に北山田に越してきた話から始まり、本間さんの広範囲にわたる活躍が面白くて、メモをとる手が止まるほどだった。10年後の人口減少が危惧されている都筑区のためにも、本間さん達のパワーに期待している。 (2024年8月訪問 HARUKO記) |