ドイツ系の外資会社・テュフ ラインランド ジャパンを、レポーター3名で訪問してきた。本社は新横浜にあるが、テクノロジーセンターは、都筑区北山田4丁目にある。本社の高杉さんと吉家さんは概要を、テクノロジーセンターのジョン・オロボセレさんは、実験室をていねいに説明してくださった。帰り際に時計を見ると、1時半を過ぎている。4時間以上、お邪魔してしまったことになる。 社長や社員は日本人という外資系の会社もあるが、ここは、社長はじめ取締役のほとんどはドイツ人。テクノロジーセンターで働いている社員のほぼ半数は、外国人(15ヶ国以上)である。そんなこともあり、社内の共通語は英語。パソコンでの連絡事項も英文である。日本人の場合、専門知識以外に英語は不可欠だ。 実験室を案内してくれたジョン・オロボセレさんはナイジェリア人だが、流暢な日本語を話す。日本で活動するからには、日本語も必要なのだろう。写真の左がオロボセレさん、右が吉家さん。 北山田4丁目の石ヶ谷交差点に建つビル(左)に、TUVマークがついたのは、2005年4月。テクノロジーセンターが都筑区に移ってきたのは、ほんの1年前のことだ。 「立派なビルだけど何をする会社だろう」と、近くを通るたびに思っていた。訪問するにあたり、テュフのHPを読んだが、理系の基礎知識がないと理解しにくい。不安を抱えながらの訪問だったが、丁寧な説明のおかげで、事業内容がわかってきた。 テュフ ラインランド ジャパンは、ドイツのTUV Rheinland Group の日本法人として1983年から活動している。新横浜の本社と都筑区のテクノロジーセンター以外に、大阪・福岡・沖縄・広島にも拠点がある。 ドイツのTUVは、1872年に蒸気ボイラー検査機関として設立。産業革命後、工業の主流は「手作業」から蒸気を使う機械に移った。すると、ボイラーの事故が頻繁に起こる。事故を起こさないためには、事前の検査が必要だということになり、検査機関を設立することになった。 「大事故が起きてからでは遅い。その前に検査が必要だ」の考えが、すでに130年以上前にあったのだ。「さすがドイツだなあ」と感動してしまった。日本では、近代化への道を歩み始めた明治初期に、ドイツではこうした思想が芽生えていたことになる。 以後、今日まで、TUVグループは、世界各国で製品安全認証のほか、品質や環境、情報セキュリティなど会社のシステムについても認証している。 知人のドイツ人に「TUVって知ってる?」と聞いてみた。「そりゃ知ってるよ。TUVは車検でも有名なんだ」の答えが返ってきた。 130年前にはボイラーの検査が主だったが、現在は、ありとあらゆる工業製品の安全性確認試験とその認証をしている。主に、EU向けの輸出品が対象だ。日本のある会社のテレビが、日本の基準はクリアしていても、EUの基準となるとどうか?簡単に言うと、こういう検査をしている。 私は、毎日使っているノートパソコンの裏をひっくり返してみた。なんと、TUVマークが貼ってある。がぜんTUVに親しみを感じてしまった。おそらくほとんどの方が、TUVで認証された製品を持っているはずだ。このマークがあれば、日本だけでなく外国の基準もクリアしているということだ。 実験室の責任者であるオロボセレさんの案内で、数え切れないほど実験装置を見せてもらったが、全部を載せるスペースはない。3つだけ取り上げる。
製品の安全検査設備が区内にあるだけでも、区民にはお宝だが、誰もが簡単に目にすることができる「お宝」が他にもある。TUVの外観写真の右下にも少し写っている「ベルリンの壁」は自由に見学できる。 1961年に155qにわたり作られた「ベルリンの壁」は、東西冷戦の象徴でもあった。その壁が崩壊したのは1989年11月9日。1年後には東西ドイツは統一した。 テュフは、テクノロジーセンターを開所するにあたり、日独親善・永遠の平和と自由を祈念してベルリンの壁を設置することになった。除幕式は、壁崩壊16年後の同じ日、2005年の11月9日。
「何をしている会社かわからない」の地域住民の声を受けて、去年の12月に、会社を開放する催しを行った。参加した人は、「実験室の説明ツアーも、ドイツ式クリスマスパーティーも楽しかった」と話している。予想を超える大勢の方が集まり、大好評だったと聞く。パーティに出席したレポーターの報告をお読みいただきたい。盛況ぶりが伝わってくる。 「今年も開催の予定はありますか」と質問してみた。「好評だったのでやりたいのですが、詳細は決まっていません」が、高杉さんの答えだった。楽しみにして待っていることにしよう。 左写真(テュフ提供)は、ドイツの遊具で遊ぶ子どもたち。区内ではないが、同じ横浜の横浜公園に、2005年10月にテュフが寄贈した。横浜公園は、ベイスターズの本拠地・横浜スタジアムに隣接している。(2006年3月 訪問 HARUKO記) |
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