完成した製品を、どうやって部屋に設置するか。天秤という前時代的な道具を使って運び入れたのである。無事収まったのは、社員が引っ越してくる前日。設置し終わったあと、プロジェクトに携わった仲間と、このテーブルで祝杯をあげずにはいられなかったという。
取材に訪れた日、欅のテーブルでは、3グループの研究員が、フランクな雰囲気で話し合っていた。もちろん各人の机はあるが、ここに集まると良いアイディアが生まれるらしい。「使われてこそ家具だ」という石黒一夫氏の理念が生きている。
居心地が良いのは、テーブルだけはなさそうだ。吹き抜けの天井は、ガラス張り。(右)。見上げれば、青空も目に入る。
夏の暑いときに冷房を使いすぎないように、直射日光を避ける工夫もしてある。スイッチを押すと、日よけが出てくる仕組みになっている。
欅のぬくもりと天井からの自然光が、無機質になりがちな研究所の雰囲気を、やわらかなものにしている。
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