都筑区中川中央1丁目、ノースポート・モール5階の一画にある「つづきMYプラザ」を訪問してきた。 ノースポート・モールは、地下鉄センター北駅から徒歩3分の商業ビル。公共の施設は不便な場所にあるという先入観を吹き飛ばしてくれる、便利でオシャレなビルに入っている。 入り口のラウンジ(左)で、林田館長が取材に応じてくださった。 このプラザの正式名称は、都筑多文化・青少年交流プラザ。2007年11月の開所時から、「名称が長くて覚えにくい。どんな施設なのか分かりづらい」という声が多かった。それに応えて、この3月に親しみやすい愛称が決まったばかりだ。
ここの運営は、区から委託されたNPO法人「つづき区民交流協会」が行っている。区民交流協会が運営している他の施設は、地区センターの一部(仲町台・中川西)、コミュニティハウス全館(中川中・勝田小・川和小・都田小・北山田小・つづきの丘小・東山田中)、スポーツ会館(大熊・東山田)、鴨池公園こどもログハウスなど、文字通り区民が交流の場に使っている所。 都筑多文化・青少年交流プラザは、多文化交流にこめられた国際交流や外国人支援の拠点としての役割と、青少年の地域活動拠点という、異質に思える2つの交流の場が同じ施設にあることが、名称のわかりにくさになったように思う。 でも開所から1年4ヶ月。3月15日(日)に行われた開館1周年記念の「プラザまつり」(左)では、両者は見事に一体化し、まつりを盛り上げていた。 まつりの詳細は「別編 プラサまつり」で紹介。
都筑区に外国人が増えているなという実感はあったが、平成21年2月末で、2,728人が外国人登録をしている。都筑区の人口は2月で195,443人。なんと区民72人に1人が外国人だ。 ほとんどの国から来ていると言っても過言ではないが、100人以上では、韓国・朝鮮の571人、中国の519人、フィリピンの336人、ドイツの268人、ブラジルの247人、アメリカの108人。 国籍や言語が違う人たちが共に生活していく社会を目指すには、お互いの文化を尊重して理解しあうことが不可欠だ。多文化交流の「多文化」には、単なる国際交流だけではない、こうした思いが込められている。 1年4ヶ月間の主な活動は ○多言語情報プロジェクト 外国人が暮らしていくうえでの最低限の情報(病院・災害時の対応・ゴミ分別・日本語教室マップ・通訳ボランティアの派遣など)をまとめたウェルカムキットを作成。区役所2階の外国人登録窓口、1階の区民活動センターと総合案内に置いてある。 ウェルカムキットの袋(左)には、「いろいろな情報は、都筑多文化・青少年プラザにあります」が、英語・ハングル・中国語・タガログ語・ドイツ語・スペイン語・ポルトガル語・タイ語で併記してある。このどれかを理解出来る人にとって、ウェウカムキットは千人力。心強い味方になっている。 ○日本語を教える活動 「あいうえおつづき」(水土の週に2回)と、「つづき日本語サークル」(火木の週に2回)という2つのボランティア団体が、外国人に日本語を教えている。学びたい人の日本語能力のレベルや目的が違うので、原則的には1対1で対応している。 訪問した水曜の午前中に、「あいうえおつづき」の教室をお邪魔した(左)。代表の馬場さんが「みなさん喜んで通ってきますよ」というだけあり、和気あいあいの雰囲気の中にも、真剣さが伝わってくる勉強会だった。 ○ほかに 日本人を対象にした「災害時における外国人支援講座」・「日本語ボランティアブラッシュアップ講座」 「ブラジル日本移民100周年」の写真展・セミナー・移民当時の結婚式を再現したバーチャル結婚式 「アフリカ開発会議IN横浜」の会議に先立って国連WFP協会によるパネル展とセミナー このように、お互いの文化を尊重して理解しようというコンセプトのもと、さまざまな活動に取り組んでいる。
MYプラザでは、青少年が交流するための「場」として、音楽スタジオとダンススタジオを無料で提供している。すでに200以上の青少年グループが登録して、放課後や休日にスタジオを利用している。原則は中高生が対象だが、大学生でも使えるなど柔軟性を持たせている。地域のイベントにはなるべく参加するよう話している。 訪問したのはウィークデーの午前中だったが、春休みなので、「コンタクト」という高校生のロックグループが練習をしていた(左)。 「こんなに素晴らしいスタジオを提供してもらえて幸せです。月に4回、借りています」「音響も良いし、機材(キーボード・ミキサー・アンプ・ドラムセット)の質がいいんです」。全員から、そんな答えが返ってきた。 「プラザまつり」で受付をしていた大学生も「スタジオの素晴らしさ以外に、スタッフの親切が忘れられません。一言でいうと大満足」と話していた。この大学生は4月から社会人。もう利用できないが、良い思い出になったそうだ。 「場」の提供ばかりではない。青少年を対象にした事業として、いろいろな企画に取り組んでいる。 ○夏休みボランティア体験 中高生78名が、夏休みに地域のボランティア(保育コース・高齢者障害者施設コース・農業体験コース・地域イベント参加コース・歴史博物館コース)に参加した。事前にボランティア5ヶ条を自分たちで作るなど、受け入れ先にも好評だったという。 ○親を対象にした「青少年のこころを聴く」連続講座
市民活動にも場を提供している。ただし、趣味や営利を目的とした団体は使えない。地域のボランティア活動など、基準にかなった活動団体だけが、登録のうえ利用できる。 訪問した日は「Current カレント」というグループが、研修室1を使っていた。教育・経済・政治・国際・環境などホットな話題を英語で話し合っていた(左)。 「Current」は、ウェルカムキット作成や通訳をするなど、ボランティア活動もしている。 ちなみに、研修室1の壁を飾っている写真は、「つづき写遊会」の作品。3ヶ月に1度、交換している
1年4ヶ月前に「手探り」状態で始まった施設は、2月末で累計入館者数が2万人を越え大盛況である。 これは林田館長(左)はじめ、交代で勤務しているスタッフ9人の力によるところが大きいと思う。地域のニーズを的確につかみ、区民に還元しようという意気込みが、話の端々から伝わってきた。 「仕事に対する使命感がなかったら、一から作り上げていくエネルギーはなかったと思うんです」と林田さん。 「私は専業主婦でしたが、夫が海外転勤族なので、行く先々でいろいろなことがありました。まだ人種差別が残るアフリカのヨハネスブルグに6年間、ベルリンの壁崩壊の時にはドイツにいて、大混乱を目の当たりにしています」。 「子供達も多様な考えを持つようになりました。私は、地域にとけ込むために、言葉も勉強しました。そんな経験が、今の仕事に役立っているような気がします」。 「海外滞在で学んだことは、外国人が分かり合うことの難しさ、人に接するときに奢りがあってはならないということです。外国人や青少年に接するには、バランス感覚がとても大事だと思うんです」。 館長の話を聞いていると、多文化・青少年交流にこれほど適した人物はいないのではないかと思えてきた。良い人物を得て、つづきMYプラザは、ますます発展するにちがいない。
都筑多文化・青少年交流プラザが覚えづらいということで、去年の9月に愛称を募集したところ、65点の応募があった。選考委員が5点に絞り、区民祭りなどの会場で投票をした結果、「つづきMYプラザ」(左)に決まった。 Multicultural(多文化)のM、Youth(青少年)のYの頭文字MY(私の)とプラザを組み合わせた。この愛称を考えた礒部志津子さんは、プラザまつりで表彰された。その様子は「別編 プラサまつり」をごらんいただきたい。 ロゴは、区内在住のデザイナー川本久美子さんが作った。このロゴにもいろいろな思いが込められている。Mの上の赤い丸は2人が手を取り合っている様子、Yの上の丸はバンザイを表している。 この愛称とロゴが決まったことで、国や世代を超えた人たちの交流が、今まで以上に盛んになりそうだ。(2009年3月訪問) (HARUKO 記) |
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