都筑区牛久保東1丁目にある「つづき地域活動ホーム くさぶえ」(右)を、レポーター3名で訪問してきた。市営地下鉄「センター北」から徒歩7分ほどの便利な場所に建っている。

ここは、知的障害者と身体障害者が通っている施設で、2002(平成14)年5月開所、5周年を迎えたばかりだ。



所長の雲居さんは、作業室・訓練室・地域交流室・おもちゃ文庫・食堂・ベッドルーム・浴室・保健室のひとつひとつを、ていねいに説明してくださった。

障害者やその家族が抱える問題についても、初めて耳にすることが多く、参考になった。雲居さんの言葉の端々に障害者に対する愛情があふれていて、このような所長のもとで働く職員や、通所している人は幸せだろうなと感じた。

施設を開所する時に名称を公募して、「くさぶえ」に決まった。施設の下を通る緑道「くさぶえのみち」(左)にちなんでいる。


緑に囲まれたオシャレな施設

ここの施設は、地域活動ホームという名称から、私が勝手に想像していた無味乾燥な建物ではない。赤茶色の外観(上)は、真四角のビルが多い中でひときわ目立つ。

2階まで吹き抜けになっているホールは、明るくて開放感があり、しかもオシャレ。

ホールの2階部分(左)には、後述する「くさぶえ織り」が、タペストリーのように飾ってあり、華やかな雰囲気を作っている。

建物の設計は、武田設計事務所による。


区内には同愛会の施設が8ヶ

「くさぶえ」は、「社会福祉法人同愛会」よって作られた施設のひとつ。横浜保土ヶ谷区にある同愛会の本部は、障害者の支援・援助を目的に、1978(昭和53)年という割と早い時期に設立された。

ちなみに、「社会福祉法人」は国の許可が必要で、税の免除がある。同じような性質の「NPO法人」は、社会福祉法人にくらべ規模はずっと小さい。他に無認可の「運営委員会」がある。この3種が、障害者の支援をしている。

同愛会が運営する施設は、ほとんどが横浜だが、東京都にも数ヶ所ある。都筑区には8ヶ所あり、同愛会の施設が1ヶ所もない区もあるので、多いほうである。このうち、「くさぶえ」は、身体障害者と知的障害者の両方を、他の7ヶ所は、知的障害者を受け入れている。

都筑区にある8ヶ所は、通所更生施設の「てらん広場第3分場響」(中川町)。地域作業所の「レアリゼつづき」(牛久保西)と「くさぶえ」(牛久保東)。地域生活援助の「平和ホーム」(富士見が丘)・「フェルマータ」(北山田)・「みずほ」(牛久保東)・「みんなの家」(中川中央)・「ぴえんと」(中川)。

通所更生施設地域作業所は、障害者の仕事の場である。18歳以上の大人が、自動車の部品・ボールペンの組み立て・菓子作り・織物など、さまざまな仕事をこなしている。

地域生活援助は、障害者が親元を離れて4〜8人のグループで暮らす「グループホーム」。日中は、地域作業所などに通う人が多い。


地域で普通に暮らしていくために

くさぶえは、障害者地域ケアシステムの拠点でもある。区内のネットワークの会も「くさぶえ」が中心になって、2ヶ月に1度開かれる。各作業所、親の会代表、学識経験者などおよそ35名が集まり、障害者が安全で安定した生活を安心して送れるように話し合いをしている。

「障害者は家庭や施設にしか生活の場がないんです。一定の人としか交流できないのが現状です。でも、健常者に混じって地域で普通に暮らしていけるようになって欲しいんです。障害者というひとくくりで語られるのではなく、普通にAさん、Bさんと呼ばれるようになりたいですねえ」と、雲居さんは熱く語った。

そんな目標を持った「くさぶえの事業」は、7つに大別される。

1、相談事業
相談支援専門委員が、福祉情報の収集を行い、市民の相談に無料で応じている。

2、生活介護事業・地域活動デイ型事業
成人の障害者が、3班に分かれて創作的文化活動をしている。
第1活動班は、ボールペンの組み立てやおしぼりの汚れなどを点検する作業をしている。

第2活動班は、喫茶店「こかげ」を提供している。緑道が見えるホールでコーヒーやケーキを楽しむことができる。「みなさん、気楽にお立ち寄りください」とのこと。「こかげ」の営業時間は月曜から金曜の1時から3時までだが、手作りクッキーやケーキは、2階でいつでも販売している。安くて美味しい。

第3活動班は、ガーデニングをしている。花壇をいろどる花々は、彼らが丹精をこめて育てたものだ。

3、ショートステイ事業
冠婚葬祭や旅行など、家族が障害者の面倒を見れない場合に宿泊できる。定員は4人。

4、一時ケア事業
家族が学校行事へ参加、通院などのときに、一時的に預かる。朝9時から夜の9時まで。

2と3と4については、あらかじめ登録する必要がある。現在の登録者は900名だが、毎年増えている。都筑区は19歳以下の登録者が7割を占め、平均年齢がいちばん若い区の特徴が現れている。保土ヶ谷区などは、20歳以上の登録者が7割を占めるという。

5、おもちゃ文庫事業
学齢前の障害児が、おもちゃで遊んだり、おはなし会に参加できる部屋がある。訪れた日は良い天気だったので、お子さん2人とお母さん、ボランティアの4人しかいなかったが、雨の日などはたくさんの子供たちが集まるそうだ。

6、余暇活動支援
ウオークラリー・バスハイク・祭りなどの企画や支援をしている。ボランティアも募集している。「障害者のボランティアは難しいのではないか」と気後れするかもしれないが、ウオークラリーで一緒に歩くだけでもいい。

7、地域交流・ボランティア活動支援
地域の団体・グループへ交流室を無料で貸している。今は4つのグループが、定期的に利用している。訪問した火曜は「バナナのおうち」というグループが利用していた。就学前の子供とお母さんたちのグループ。

第1活動班の作業のひとつ。おしぼりの汚れや綻びを点検している。 第2活動班による喫茶「こかげ」。月から金曜日までの1時から3時に開店。 「こかげ」を開店していない時間でもクッキー(50円)やケーキ(1切れ100円)を販売している。
第3活動班が丹精をこめた花が、表通りに咲き誇っている。 「おもちゃ文庫」の広い室内には、おもちゃや絵本がたくさん置いてある。 「バナナのおうち」の活動日。訓練室では子供たちが、ホールではお母さんたちが交流していた。


つづきブランド くさぶえ織り

「くさぶえ」に通う人たちが手織機「さをり」で作る「くさぶえ織り」は、「都筑ブランド」に指定されている。交流ステーションの都筑ブランドのコーナーですでに紹介しているが、再度書いてみようと思う。

「くさぶえ織り」は、ひとりひとりが自分の感性で糸を紡いでいるので、世界にひとつしかない織物である。肌触りが暖かくて色彩豊か。「どうしてこんなにセンスが良い色合いが生まれるのだろう」と、つぶやいてしまった。仕上がった織物は、誰が作ったものかすぐわかるという。それぞれ、色の使い方に個性があり特徴があるからだ。

縦糸160本を準備するのは、スタッフの方。糸がこんがらからないようにするための、大変な作業である。完成した織物は、「夕鶴の会」のみなさんが、ボランティアで、センスある小物に仕上げてくれる。

ペンケース、化粧ポーチ、小物入れ、帽子、ポシェット、ハンドバッグなどを2階の受付で売っている。値段はモノによっていろいろだが、ペンケースが700円と驚くほど安い。足を運ぶ価値は絶対にある。

世界にひとつしかない「くさぶえ織り」の小物 「さおり」に縦糸を準備中のスタッフ 2階受付にある売店コーナー


くさぶえ太鼓 

くさぶえの、もうひとつのユニークな活動を紹介したい。くさぶえのスタッフが講師になり、毎週木曜日と第1・3土曜に、和太鼓の練習をしている。大人が25名、子供が5名ぐらい練習に参加している。

障連協10周年の記念イベント「みんなで楽しむコンサート」が2月に開催された。そのときに、くさぶえ太鼓を披露(左)して、会場から喝采をあびた。

他に、福祉農園で芋ほりをしたあとに、ステージで演じるなど、いろいろな場で和太鼓を楽しんでいる。



最後に雲居さんが語った。「くさぶえは、地域の障害児者の拠点施設ですが、多くの区民の方々に利用していただきたいと思っています。また、くさぶえを通して多くの出会いが生まれ、支え合いができればと思います。まずは、くさぶえを知ってください。来てください。見てください」。

「くさぶえを知って下さい」にもってこいのイベント・「たばたまつり」が、くさぶえを会場にして近々開かれる。7月7日の10時半から13時まで。くさぶえ和太鼓、日本舞踊、おはなしシアター、アート展示、布絵本の展示など盛りだくさんだ。もちろんクッキー・ケーキ、くさぶえ織りの販売もある。誰でも自由に参加できるので、ぜひ足を運んで欲しい。くさぶえの電話は045-590-5778。   (2007年5月訪問 HARUKO記)

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