北山田7丁目にある横浜国際プール(上)を、2名で訪問してきた。施設のオープンは1998年7月だが、去年・2006年4月に、「財団法人横浜市スポーツ振興事業団」から、、シンコースポーツ株式会社と(株)シミズオクトの民間2社に引き継がれた。シンコースポーツは管理と運営を、シミズオクトは警備と設備を担当している。公共施設は、自治体か市が出資している外郭団体しか運営できなかったが、法改正によって民間も運営できるようになった。

シンコースポーツの平川さんが全般を、シミズオクトの佐久間さんが設備関係を説明してくださった。


オリンピック対応の施設

ここは、横浜がオリンピック開催都市に名乗りをあげた頃に計画された施設である。バブルの絶頂期でもあった。オリンピックにも対応できる立派なプール誕生には、こんないきさつがある。メインプールとダイビングプールは国際公認、サブプールは国内公認プールである。

緑地と一帯になった広大な敷地(左写真は国際プール提供)は、水泳の殿堂と呼ぶにふさわしい。

メインプールは50メートル×25メートルが10コース。ダイビングプールは25メートル×25メートルで水深は5メートル。

サブプール
は50メートル×21メートルが8コース。通常は、1メートル水深のものと、2.5メートル水深の2面に分けて使っている。

プール以外の多目的ホールトレーニングルーム会議室でも、さまざまな教室が開かれている。もちろん、レストラン売店もある。

ガラスで覆われた優美でオシャレな建物群は、1998年の神奈川県建築コンクールで入選。「CM撮影にも何度か使われているんですよ」と平川さんが話してくれた。

建物とマッチしたモニュメントも、建物内部や庭にいくつかある。モニュメントを探しながらの散策も楽しいと思う。

写真より更に右に広がっている緑地は、絶好の散歩コースだ。林浴の庭・竹林の庭・香りの庭・瞑想の庭・桜の庭に、数カ所の休憩所も作られている。もちろん自由に出入りできる。


世界新記録が出た!

ビッグイベントとしては、2002年にパンパシフィック水泳選手権が開かれた。オーストラリアのイアンソープ、北島康介、都筑区出身の中村礼子もこの大会で泳いだ。

イアンソープは5種目で1位だったが、400メートルメドレーリレーだけは2位だった。この種目で1位になったのはアメリカ。アメリカチームは、世界新記録の3分33秒48を樹立した。4選手(ピアソル・ハンセン・フェルプス・レザク)のサイン色紙(右)が、1階売店に飾ってある。

「新記録記念のプレートも、メインプールの側面壁についているんですよ」と、平川さん。冬期の今、メインプールはアリーナに変わっている。残念ながら、プレートの撮影は出来なかった。

2006年9月に、シンクロナイズドワールドカップが開かれたのは記憶に新しい。大規模な大会だったので、大会期間4日間は全館貸し切りだった。テレビでも中継していたが、満席の観客から熱気が伝わってきた。日本は、チームで銀メダル、デュエットで銅メダル、ソロで銅メダルを獲得している。


プールの管理は24時間

中央監視室(左)では、全館の設備関係を一括して管理している。照明の点灯、空調や温度、エレベーター、火災報知、プールの水温や水温、冷温水発生機、ボイラー、常用発電、非常用発電など、さまざまな情報が集まってくるので、モニターで監視している。

常用発電は、余熱を暖冷房・プールの水温調節などに流用する「コージェレレーション方式」を採り、環境にも配慮している。

ちなみに、常用発電は東京電力との契約電気量をオーバーする部分をカバーし、全館で使用する電力の、冬は10〜15%、夏は20%をまかなっている。


昼間は4人、夜間も2人が常駐し異常があればすぐ現場にかけつける。機械を24時間動かしているので、その間も管理者は休めない。

営業は早くても朝7時30分、遅い日でも夜11時だから、その間は休んでいても良さそうなものだが、常時気持ちよく使ってもらうためには、夜間の管理が大事なのだという。「もし夜間に機械を止めてしまったら、水が汚れてしまうんですよ」と設備担当の佐久間さんが、説明してくれた。

プールの管理はサブプールとメインプールに分かれている。水質検査は朝6時半頃、11時、15時、19時と頻繁に行っている。夏は汚れが激しいので回数を増やす場合もある。

冬期の今は、サブプール用の機械だけ稼動しているが、濾過器(左)、殺菌・脱臭の機械、オゾン発生装置、空気調和機、ボイラーなど巨大なタンクと太いパイプがいくつも並んでいた。

「万一、バイ菌でも発生したら大変なことになりますから、水質には非常に気を使っています」とのこと。私がこどもの頃、何10年も前の話だが、藻が浮いたようなプールで泳いでも病気になったとは聞いたことがない。今は、バイ菌に対する抵抗力が減っているのだろうか。


プールがテニスコートに?

冬期期間(10月〜4月)は、プール利用者が減ることから、メインプールにはすっぽり覆いがかけられ、運動場に変身する。夏のメインプールを知らない人には、ここがプールだと言っても、なかなか信じてもらえそうにない。

訪れたときは、テニスのレッスン中(左)だった。テニスの大きな大会「テニス日本リーグ」が、この会場で開かれたばかりだ。

企業や学校の運動会にも、よく使われる。観覧席があるので、ゴザを敷いての見学より楽かもしれない。



民間に変わって

横浜スポーツ振興事業団から民間に運営が任されたことで、市が投入する予算が3分の2に縮小された。財政破綻した例が他の地域であったことだし、市民としても関心を持たざるを得ない。税金投入が3分の2に減ったのは、市民には嬉しいことだが、これだけの施設を快適に保って欲しいという願いもある。

シンコースポーツは、広告を受け入れるなど工夫をしている。去年から、ロビーやプールでも大きな広告が目につくようになった。空いている会議室を利用して、カルチャー教室をあらたに設けることにも着手した。区内に若い家族が多いことから、子ども向け体操や子どものサッカー教室などを開講して、好評を博している。


当日参加ができる教室もある

教室は、当日参加が可能な教室と、事前応募が必要な教室に大別されるが、詳しくは教室案内をごらんいただきたい。事前応募が必要な教室は、○○回で△△円と決まっているので、休んでも費用が戻ることはないが、当日参加可能な教室は、思いついた時に参加できるし、自分に合わないと思えば1回で止めることもできる。気軽に参加できる嬉しいシステムだと思う。ただし、満員になってしまう場合もある。

事前応募が必要な教室は、カルチャー系、プール、サッカー、テニス、体操など多岐にわたっている。1期間(約3ヶ月)で5,000通以上の応募葉書が寄せられるという。半分以上は都筑区民だが、東京、川崎、他の区からの応募者もある。

当日参加の教室は、エアロビクス、ヨガ、バレエ、ベビー体操、ストレッチなどのフロア系と、アクアビクス、水中ウオーキングなどのアクア系がある。なかでもすぐ満員になる人気種目は、ピラティス、フラダンス、ヨガである。ピラティスという聞き慣れない体操は、創始者の名前ジュセフ・ピラティスから来ている。太極拳やヨガに似ているという。

ピラティス フラダンス ヨガ

今回訪問したことで、教室の種類の多さも魅力的ながら、立派な施設を安全に快適に保つために、裏方の力がいかに大きいかを知った。(2007年2月訪問 HARUKO記)


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