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第2部 1)問題提起 「保存しなくてはならない社会の行く末-映像アーカイブズを見すえて-」

光岡寿郎講師
東京経済大学
コミュニケーション学部
ミュージアムを対象とした社会学やメディア研究に取り組んできており、今回の各先生の発表で共通する共通キーワードは「メディア研究」にあるとの見解に立って問題提起を行った。
従来は学術的に評価されたものが保存され、価値のないものは自然に消えていたが、「記録、保存しなければならない社会」において、「モノ」が大往生することが許されなくなってきている。
その「モノ」を発掘して評価し、地域アーカイブを形成していくためには、信頼された専門性が必要になっている。ミュージアム学芸員、図書館司書、アーカイブ研究家の専門性の評価は残念ながら低い。
地域に即した身近なアーカイブを立ち上げていくこととは、すなわち私たちの日常的な記憶の形成の外部化でもある。このような重要な領域において、専門家に対する社会的信頼が必ずしも高くないという事実と向き合っておく必要があるのではないか、との問題提起が行われた。

第2部 2)地域映像アーカイブ リレーシンポジウム:アーカイブとアーカイブとをつなげる 

パネリスト 原田健一、小林直毅、中村雅子、上野直樹、光岡寿郎(敬称略)

水島久光教授
東海大学文学部
パネルディスカッションでは、光岡先生の問題提起を受けて、司会進行役の水島先生が発表された先生方の内容を総括し、絶妙な語りと進行でディスカッションを進められました。各先生のコメントの一部をご紹介します。
<原田先生>
地域の日常の映像を発掘する中でアーカイブを通し、自分自身に問いかけながら新しい発見をしてきた。今後、評価のヴァージョンアップをするためにも、多様な角度から見て価値判断ができるよう、作り上げたデータを共有し、コミュニケーションを継続するとともに、制度的にこの活動を継続していかなければならないと考えている。
<小林先生>
アーカイブは、新しい気づきを与えてくれる領域であると考えている。
専門性を問われているが、メディア研究の領域でも原田正純さんが提唱した「水俣学」のようなものがあってもいいのではないか。個人的には「メディアの水俣学」では自分自身は専門性を持っていると思っている。
<中村先生>
社会的に共有される映像を通し、アーカイブは問題意識を共有できる。専門家が捨てる情報でも、市民には価値を持つものもある。公的機関が市民アーカイブと連携したり、逆に市民グループが自らの価値基準で公的アーカイブを評価して必要な部分を抽出、活用するような双方向的な交流が可能になることが望ましいのではないか。
<上野先生>
市民と博物館や図書館との循環を望んでいる。専門性の中には、その領域の専門家の利害関係が関わるところもあり、難しい点がある。デジタル化、オープン化によって、アーカイブに関わる専門家と市民、博物館、図書館が交流し、関係を再構成しなければならないと考えている。

 ○会場内関連展示物


つづきの「街の記憶」をめぐる研究



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*この「地域映像アーカイブ 大学連携シンポジウム」は、横浜での開催を皮切りに、神戸、京都、九州、北海道、そして新潟など、テーマを変えつつ全国を巡回する予定とのことでした。
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